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超スイス人的日本人

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スイスの寄宿舎で会った日本人生徒のなかで、ただひとり、私に対して友達言葉を話したKさん。初対面のとき、彼女は私に、「じゃあ、これから○○ちゃんって呼んでいい?」ときいてきました。とっさにダメだと言えなかった私。それからの1年間、ひとまわりぐらい年の離れた私たちは互いに「Kちゃん」「○○ ちゃん」と呼び合うことになったのです。

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Kさんは、お父さんが日本人、お母さんがスイス人といういわゆる“ハーフ”の女の子。(最近ではダブルともいうようですが、この表現はどれぐらい定着しているのでしょう。)

彼女は東京に生まれ育ち、16歳のときにスイスのその学校へやって来ました。私が到着したのとほぼ同時期だったので、海外生活の初心者という意味では共通しています。

ただ、Kさんの家庭ではお母さんがスイス方言を話していたらしく、彼女は方言と標準ドイツ語の両方を話すことができました。前にお話ししたように、スイスのその学校では生徒が教師を“Jane”“Tom”のようにファーストネームで呼び、ドイツ語の敬語表現を使わない決まりになっていました。

でも、それをそのまま日本語にあてはめると妙な感じになるので、日本人生徒は私を「○○先生」と呼び、「・・・ですよね」と丁寧語で話しかけてきたのです。8歳から8年間スイスで暮らしているU君も、とってもアメリカンなYさんですらそうでした。じゃあ、なぜKさんだけが違ったのか・・・。

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おそらく、日本語とドイツ語のふたつの母国語をもつ彼女は、学校に着いたとき、(あ、ここでは敬語は使わなくていいんだ)と理解し、日本語で話すときもそれをそのまま実践したんじゃないかと思います。

とはいえ、これまでずっと日本で暮らしていたKさんが日本語の微妙なニュアンスを知らなかったはずはないので、とてもスイス的な物の考え方をする人だった、ということでしょうか。

このことは、そもそも日本語を知らないスイス人やアメリカ人の同僚教師に話してもわかってもらえないので、誰にも相談できずにいました。そしたらあるとき、Kさんと同い年で東京出身のNさんが、ふと、Kさんの私に対する言葉遣いに違和感を覚える、と言ったのです。「先生のこと○○ちゃんって呼ぶなんて失礼ですよ」

私はそこで(しまった)と思いました。まあ、たかが1年間の学校内での関係だし、友達言葉でもいいか、なんて軽く考えてたのですが、周囲の日本人からは、少し奇妙に見えていたのでしょう。Kさんに最初に会った時点できちんと話しておくべきだった、と反省しています。

あれからもう何年にもなります。今、もし日本で再会したら、Kさんはやはり私を「○○ちゃん」と呼ぶのでしょうか。それはそれで、当時を思い出してなつかしい気もするのですが・・・。

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